ベンダーのIT見積で”盛られやすい”5項目と、素人でも見抜ける質問
「このシステムの見積、100万円と言われたけれど、本当に妥当なの?」——福島県の中小企業の経営者から、いちばん多くいただく相談のひとつです。
先に大事なことを言うと、見積が高いのは、必ずしもベンダーが悪意で盛っているからではありません。情報の非対称性(発注側に知識がない)や、多重下請けの構造、”念のため”の安全マージンなど、放っておくと見積は自然に膨らみやすいのです。だからこそ、売り手でない第三者の目が効きます。
この記事では、製品を売らない中立の立場から、システム・セキュリティのベンダー見積で盛られやすい5項目と、専門知識がなくても使える見抜き方をお伝えします。
なぜIT見積は膨らみやすいのか
理由はおもに3つです。①発注側に相場や中身の知識がないため、言い値になりやすい。②多重下請け(元請け→下請け→孫請け)だと、各段階で中間マージンが乗る。③初期費用を安く見せ、月額保守で回収する価格設計がよくある。
いずれも「悪意」ではなく「構造」の問題です。裏を返せば、中身を分解して質問すれば、かなりの部分は見抜けます。
盛られやすい5項目と、見抜く質問
① 「一式」見積
「システム構築一式 80万円」のように、内訳が見えない見積です。何にいくらかかっているのか分からず、比較も交渉もできません。 見抜く質問:「項目ごとに、数量・単価・工数(人日)の内訳を出してもらえますか?」内訳を渋る場合は要注意のサインです。
② 人月・工数の水増し
IT開発費の多くは「エンジニアの単価 × 工数」で決まります。ここで、単価が相場より高い/工数が多めに見積もられていることがあります。多重下請けだと単価にマージンが重なります。 見抜く質問:「この作業に何人日かかる想定ですか?」「担当する方のスキル・役割は?」相見積もりを取れば、単価と工数の”相場観”が一気につかめます。
③ 保守・運用費(ランニングコスト)
初期費用は安く見せ、毎月の保守費で回収する設計はよくあります。しかも保守の中身が「サポート」とだけ書かれ、曖昧なことが多い。 見抜く質問:「保守費には、具体的に何が・月何回・どの時間帯まで含まれますか?」「障害対応の範囲は?」使わないサポートなら、外して減らせる余地があります。
④ 過剰なスペック・過剰なライセンス
「安心のために」と、実際の利用規模より大きいサーバースペックや、多すぎるユーザーライセンスが積まれることがあります。 見抜く質問:「うちの実際の利用状況(人数・データ量)から見て、この容量・ライセンス数の根拠は?」将来の拡張分は、必要になってから足せば十分なケースが多いです。
⑤ 不要なオプション・付帯サービス
使わない機能、重複した初期設定費、過剰な導入コンサル費・教育費など、「あってもいいが、なくても困らない」項目が積み上がりがちです。 見抜く質問:各項目について「これは何のためで、なくても動きますか?」と一つずつ確認する。相見積もりで”入っている/入っていない”を比べると、余分がはっきりします。
相見積もりは「同じ条件」で取るのがコツ
複数社から取るのは有効ですが、バラバラの条件で比べても意味がありません。「どこまでを・どの粒度で見積もってほしいか」を同じ要件書で伝え、同じ土俵で比較しましょう。そして、いちばん安い会社が正解とは限りません。安さの裏で必要な作業が抜けていることもあります。
とはいえ、全部を自分で見抜くのは大変です
ここまで読んで、「質問はできても、返ってきた答えが妥当かどうかは結局分からない」と感じたかもしれません。それが普通です。相手はプロなのですから。
PC-Holicの「ITセカンドオピニオン」は、まさにここを担います。ベンダーから受け取った見積書を、製品を売らない中立の立場で精査し、「どこが妥当で、どこが削れるか」をお伝えします。手数料はどのベンダーからも受け取っていないので、特定のメーカーに誘導することもありません。(→ITセカンドオピニオン)
まとめ
IT見積が膨らむのは、多くが悪意ではなく構造の問題です。だからこそ、①内訳を出させる ②工数と単価を分けて見る ③保守の中身を明文化させる ④スペック・ライセンスの根拠を問う ⑤不要な付帯を削る——この5つの視点で質問するだけで、ムダはかなり見抜けます。
それでも判断に迷うときは、発注する前に、中立の第三者に一度見てもらうのがいちばんの節約になります。福島県の中小企業向けに、無料の個別相談を承っています。見積書を前に「これで大丈夫かな」と迷ったら、お気軽にどうぞ。
本記事は一般的なIT調達・システム開発の実務知識に基づくもので、特定のベンダーや事案を指すものではありません。